轆轤挽く春の指先躍らせて
陶工の指紋薄れて寒明くる
春愁の罅を持ちたる壺砕く
窯小屋を遠巻きにして囀れる
春昼の窯場掃きゐる女弟子
風吹けば空の錆びゆく竹の秋
黄沙降る廃墟のごとき大都会
花人の濁流となる上野かな
逢ひにゆく夜の春田を横切つて
春愁の少し尾を引く目許かな
焼酎のグラス大きく君映す
ががんぼの銀の脚もつ月夜かな
屑籠のあふれやすくて梅雨探し
夏帯の芯に熱気のこもりたる
外れざる指輪の熱やソーダ水
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金銀の露と朝日と木道と
亜米利加の二百二十日の星条旗
生臭き雨を呼びたる曼珠沙華
終電の窓秋霖の縞模様
かもめ来よ秋の翼を翻し
海猫の刹那の声に深む秋
冬の夜の華やぎといふ偽りに
東京の寒夜沈めてゐるボトル
冬の夜へこのまま落ちてゆきさうな
浮寝鳥青き地球の夢をみて
冬晴に融けゆく悔いも雑踏も
寒禽がまた青空をはね返す
窯始夢二の杜の片隅に
また同じ指ささくれてゐる余寒
強東風にひとりとりのこされてをり |